はじめに:冬の沈黙を破る3月の水面
寒さが少しずつ緩み始める3月。多くのアングラーが「まだ釣れる魚が少ないのでは?」と尻込みしている時期ですが、実はこの時期こそ年間を通じて最も貴重な釣りの機会が眠っています。
各地のフィールドで四季を通じて竿を振ってきましたが、3月の釣行ほど「準備した者だけが報われる」時期はないと断言できます。水温の上昇とともに活発になり始める魚たちを狙うことができれば、人の少ない静かな環境で質の高い釣りを楽しめます。
この記事では、私の経験から導き出した「3月に釣るべき魚」とその攻略法を惜しみなく公開します。今シーズンこそ、釣り初めの一歩を早めに踏み出してみませんか?
目次
- 春を告げる海の宝石:メバル
ー 3月のメバルが持つ特別な魅力と狙い目ポイント - 川の主役返り咲き:渓流魚(アマゴ・イワナ・ヤマメ)
ー 解禁直後の絶好のタイミングを逃さない戦略 - 港湾部の大物:クロダイ(チヌ)
ー 春先の接岸パターンを読み解く - 回遊魚の先発隊:アオリイカ
ー 産卵のために接岸する春イカの効率的な釣り方 - 意外な主役:ワカサギ
ー 氷上ではなく開放水面でのラストチャンス
1. 春を告げる海の宝石:メバル
なぜ3月のメバルなのか
水温が8〜12度に上昇する3月、メバルは産卵のために接岸し始めます。この時期のメバルには3つの大きな特徴があります:
- 活性が高い – 産卵前の摂餌活動が活発
- サイズが良い – 大型の親魚が多く接岸
- 身質が最高 – 冬の間に蓄えた脂がのっている
30cmオーバーのメバルに出会えることも。夏や秋には見られない肉厚の個体が多いのもこの時期の特徴です。
3月メバルの攻略法
おすすめタックル:
- ロッド:7〜8ftのライトロッド
- リール:1000〜2000番のスピニングリール
- ライン:PE0.4〜0.6号(フロロカーボンリーダー2lb)
効果的な釣り方:
- 夕マズメ〜夜にかけて – 日没後2時間が特にゴールデンタイム
- テトラ帯や岩礁帯 – 特に波の当たる側の入り組んだ場所
- ルアーローテーション – 小型のジグヘッド(2〜5g)+ワーム(2インチ前後)を基本に
私の経験では、潮が動き始めてから1時間が特に良く釣れる傾向があります。また、その日の最初のバイトが来たルアーパターン(色・動かし方)を覚えておき、それを繰り返すことが連続ヒットの鍵となります。
実践テクニック:シャローレンジのスローリトリーブ
特に注目してほしいのが、水深1〜2mの浅場です。多くのアングラーは深場を狙いがちですが、3月のメバルは意外と浅場に潜んでいます。以下の手順でアプローチしてみてください:
- ジグヘッド2g+グロー系ワームをセット
- 足元から5m程度横にキャスト
- 着底させた後、3秒間隔でピクピクとロッドティップを動かす
- 10〜15秒に1回、1巻きだけリールを回す
この「超スローな誘い」が、警戒心の強い大型個体を誘発する鍵となります。私はこの方法で2時間に5匹の25cm以上のメバルをキャッチしたことがあります。
2. 川の主役返り咲き:渓流魚(アマゴ・イワナ・ヤマメ)
解禁直後の特別な状況
多くの県で3月1日に解禁となる渓流釣り。この時期には2つの圧倒的アドバンテージがあります:
- 魚の警戒心が最も低い – 数ヶ月間釣りのプレッシャーがかかっていない
- 放流された魚が多い – 多くの漁協が解禁に合わせて放流を行う
渓流釣りのタックル選び
管理釣り場向け:
- ロッド:5〜6ftのエリアロッド
- リール:小型スピニング(1000番程度)
- ライン:フロロカーボン2〜3lb
自然渓流向け:
- ロッド:6〜7ftの渓流竿
- リール:小型スピニング(1000〜2500番)
- ライン:フロロカーボン3〜4lb
3月の渓流攻略法:低水温期の鉄則
この時期の渓流は水温が低く、魚の活性もまだ完全には上がっていません。以下のポイントを押さえることが重要です:
- 日中の暖かい時間帯を狙う – 10時〜14時がベスト
- 流れの緩やかな部分を丁寧に探る – 早瀬よりも淵を優先
- ルアーの動きを極力スローにする – 通常の半分程度のスピード
3月はまだ日差しが強くないため、魚は日向にも出てきますが、それでも岩陰や倒木の下などの影には必ず立ち寄ります。そういった場所に対して、上流から下流に向かってルアーを流し込むことで効率的にアプローチできます。
実践例:超スローな毛針の誘い
特に低水温時に効果的なのが毛針(毛鉤)の超スローな誘いです:
- 上流側から流れに対して斜め下流にキャスト
- ラインを張らず、ルアーを自然に流す
- 5〜10秒に1回、小さくロッドを揺らす程度の動きを加える
- 流心から淵に落ち込む部分で特に注意深く見る
3. 港湾部の大物:クロダイ(チヌ)
春の接岸パターンを理解する
クロダイは通常4月以降が本格シーズンと言われますが、実は3月こそが大型狙いの穴場シーズンです。以下の理由から、この時期のクロダイ釣りには大きなアドバンテージがあります:
- 大型個体が早期に接岸 – 水温11度を超えると活動開始
- 競合アングラーが少ない – 多くの人はまだチヌシーズンと認識していない
- 春特有の摂餌パターン – 冬の間の栄養不足を補うため積極的に餌を探す
タックルセッティング
フカセ釣り向け:
- ロッド:5.3〜6.0mの磯竿
- リール:2500〜3000番のスピニングリール
- ライン:ナイロン2〜3号(ハリス1.5号)
ルアー釣り向け:
- ロッド:8〜9ftのミディアムライトロッド
- リール:2500〜3000番のスピニングリール
- ライン:PE0.6〜0.8号(フロロリーダー3〜4lb)
3月のクロダイ攻略ポイント
この時期のクロダイは、以下の3つの条件が揃う場所に集まる傾向があります:
- 日当たりが良い – 少しでも水温が高い場所を好む
- 波が穏やか – 特に南向きの堤防や波止
- ストラクチャーが豊富 – テトラポットや岩礁、護岸の段差など
特に、工場の温排水が流れ込む港湾部は、周囲より水温が1〜2度高くなるため、クロダイが早期に集まるスポットとなります。
実践テクニック:フカセ釣りの微調整
3月のクロダイに効果的なのが、オキアミをエサにしたフカセ釣りです。ただし、通常のフカセ釣りとは異なる以下の調整が重要となります:
- 仕掛けを小さく – 通常より1ランク小さいハリとオモリを使用
- オキアミの量を減らす – 通常の半分程度の量でチヌの警戒心を下げる
- ハイシモリを低く – 水面下20〜30cmを目安に
冷たい水の中でじっくりとアプローチすることで、まだ活性が完全に上がっていないクロダイをキャッチできます。連続して投げ続けるよりも、同じポイントに10分間隔で投げる方が効果的です。
4. 回遊魚の先発隊:アオリイカ
春イカの魅力
アオリイカの本格シーズンは4〜5月ですが、実は3月下旬から接岸が始まります。この時期のアオリイカには以下の特徴があります:
- サイズが良い – 初回接岸は成熟した大型個体が多い
- 肉質が最高 – 産卵前で身が引き締まっている
- 釣り人が少ない – 本格シーズン前で競合が少ない
春イカ用タックル
- ロッド:7〜9ftのエギングロッド
- リール:2500〜3000番のスピニングリール
- ライン:PE0.6〜0.8号(フロロリーダー3lb)
- エギ:3.0〜3.5号(ナチュラルカラー中心)
3月アオリイカの攻略法
この時期のアオリイカのパターンを理解することが重要です:
- 接岸のタイミング – 大潮の前後2日間が特に狙い目
- 最適な時間帯 – 日中よりも夕マズメ〜夜にかけて
- ポイント選定 – アマモ場や岩礁帯の近く、特に南向きの入り江
一般的なエギングとは異なり、この時期は「超スローなシャクリ」が効果的です。通常のシャクリの半分以下のスピードで、時にはロッドを動かさず1分間そのまま止めておくことも有効です。
実践テクニック:春のナイトエギング
特に効果的なのが、日没後30分〜2時間の間のナイトエギングです。以下の手順で行ってみてください:
- 日没前に漁港や防波堤のポイントに到着
- まずは明るいうちに地形を確認(藻場や水深の変化)
- 日没後は、岸際〜10m程度の範囲を集中的に探る
- エギを着底させ、10〜15秒間隔で小さくシャクる
私の経験では、オレンジや赤系の発光エギが特に効果的です。また、月明かりがある夜よりも、月のない暗い夜の方が釣果が良い傾向があります。
5. 意外な主役:ワカサギ
氷上ではなく開放水面での釣り
3月といえば、多くの湖では氷が溶け始める時期。これはワカサギ釣りの方法が「氷上」から「開放水面」へと移行するタイミングです。実はこの時期こそ、以下の理由からワカサギ釣りの穴場シーズンとなります:
- サイズが最大 – 1年で最も大きな個体が釣れる
- 群れが密集 – 産卵前で大きな群れを形成している
- 釣り人が激減 – 氷上ワカサギが終わり、夏の釣り始まる前の谷間
タックル・セッティング
- ロッド:1.5〜2.0mの穂先感度の高い専用ロッド
- リール:小型スピニング(500〜1000番)
- ライン:フロロカーボン0.8〜1.2号
- 仕掛け:3〜5本針の市販ワカサギ仕掛け
3月ワカサギの攻略法
この時期のワカサギを効率的に釣るコツは以下の通りです:
- 深度の見極め – 水温が上がり始めると中層に集まる傾向
- 餌の選択 – イクラやマウスを使用(この時期は特に有効)
- アタリの感度設定 – 非常に小さなアタリを見逃さない調整を
ボートからの釣りが理想的ですが、岸からでも桟橋や堤防など、足場の良い場所から狙うことができます。
実践テクニック:誘いの微調整
3月のワカサギは産卵前で活性が高いものの、まだ水温は低いため、以下のような「微妙な誘い」が効果的です:
- 仕掛けを底まで落とし、そこから50cm程度巻き上げる
- ロッドを5〜10cm上下に小刻みに動かす
- 3〜5秒間隔で1回転だけリールを巻く
- この動作を繰り返し、層を見つける
群れを見つけたら、その層を探りながら少しずつ移動することで、効率的に釣果を伸ばすことができます。前日の風向きが変わった直後のポイントで特に良い釣果が出る傾向があります。
まとめ:3月の釣りを最大限に楽しむために
3月の釣りは「準備と知識」がものを言う時期です。今回ご紹介した5種の魚は、いずれも3月特有の好条件が揃っている穴場的存在です。
押さえておきたいポイント
- 水温の変化に敏感になる – 1度の違いが釣果を大きく左右する
- 天気予報をこまめにチェック – 特に南風の日は魚の活性が上がりやすい
- 道具のメンテナンス – 冬の間に劣化したラインや錆びたフックを交換
- 動きをスローダウン – この時期は通常より遅いアクションが効果的
次のステップ
さあ、今週末の予定はいかがですか? この記事を読んだあなたは、すでに3月の釣りの可能性に気づいているはずです。他のアングラーがまだ冬眠している間に、春の訪れを一足先に感じてみませんか?
私のおすすめは、まずお住まいの地域から最も近いメバルポイントから挑戦することです。初心者でも比較的簡単に釣果が期待でき、しかも美味しい魚を持ち帰ることができます。
あなたの3月の釣行が実り多きものになることを心から願っています。